映画「デトロイト」は、50年前に起こった米史上最大級の暴動について事実を基に製作された挑戦的なフィルムです。
この記事では、デトロイト近郊に住み始めて2年目になる私が、ネタバレありで映画デトロイトの評価と感想をまとめています。
正直、めちゃくちゃ刺激的な内容で賛否両論ある映画です。
予備知識ゼロで観るのももちろん良いですが、日本人とアメリカ人の評判やデトロイトの時代背景について知ってから映画を観るとより楽しめますよ。
Contents
映画「デトロイト」の作品概要

2017年にアメリカ、2018年に日本で公開された映画「デトロイト」の作品概要をまとめました。
あらすじ
1967年、米史上最大級の暴動勃発。
街が戦場と化すなかで起きた“戦慄の一夜”
1967年7月、暴動発生から3日目の夜、若い黒人客たちで賑わうアルジェ・モーテルに、銃声を聞いたとの通報を受けた大勢の警官と州兵が殺到した。そこで警官たちが、偶然モーテルに居合わせた若者へ暴力的な尋問を開始。やがて、それは異常な“死のゲーム”へと発展し、新たな惨劇を招き寄せていくのだった…。
映画「デトロイト」は、ミシガン州デトロイトにあるモーテルで白人の警察官が黒人の宿泊客に行った過酷な自白強要の行方を、息詰まるタッチで描いた実録サスペンス作品です。
1967年7月に起こったアメリカ史上最大級の暴動「デトロイト暴動」の一夜を題材に描いています。
デトロイト暴動(12番街の暴動)

映画「デトロイト」を観る上で欠かせない予備知識が、1967年のデトロイト暴動(別名:12番街の暴動)です。
デトロイト暴動は、1967年7月23日から5日間に渡りミシガン州デトロイトで繰り広げられたアメリカ史上最大級の暴動であり、今でも「1967年の長い暑い夏」と語り継がれています。
暴動の発端は、警察官が無許可のバーを襲撃したことです。最終的に暴動を鎮圧化するためにミシガン州の陸軍・空軍が投入され大規模な被害をもたらしました。
デトロイト暴動の被害
- 死者43人(黒人33人、白人10人)
- 負傷者1189人
- 逮捕者7,200人以上
- 建物の破壊2,000以上
黒人の死者33人のうち、14人が警官によって射殺されています。
この事件以降、デトロイトでは白人の人口が急激に減り、廃退の一途をたどることになります。
しかし、2013年の財政破綻を契機にデトロイトは再成長しました。現在は復活し、治安ワースト1の汚名を返上しています。現在の治安について詳細は、「デトロイトの治安情報!空港周辺や美術館は危険?【2019年最新】」で解説しています。
この映画「デトロイト」では、デトロイト暴動事件の最中に起こった「アルジェ・モーテル事件」について、事実に基づいて作製されています。
キャスト
監督は、映画「ハート・ロッカー」で史上初の女性によるアカデミー監督賞受賞者のキャスリン・ピグロー。そして主演は「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のフィン役で名を知らしめたジョン・ボイエガです。
役名 | 俳優 |
メルヴィン・ディスミュークス | ジョン・ボイエガ |
フィリップ・クラウス | ウィル・ポールター |
デメンズ | ジャック・レイナー |
フリン | ベン・オトゥール |
ロバーツ准尉 | オースティン・エベール |
アウアーバッハ弁護士 | ジョン・クラシンスキー |
ラリー・リード | アルジー・スミス |
ロバート・グリーン | アンソニー・マッキー |
カール・クーパー | ジェイソン・ミッチェル |
DVD&Blue-ray
映画「デトロイト」のDVDとBlue-rayは、2018年7月4日から発売されています。
DVDやBlue-rayでデトロイトを観るのも良いですが、動画配信サービスなら無料でみれます。
デトロイトは、映画の題材がかなり重たい内容なので好き嫌いがはっきり分かれる映画です。そのため、U-Nextで一度無料で観てからDVDやBlue-rayを購入した方が安心です。
映画「デトロイト」の評価(ネタバレあり)

映画デトロイトの日本人とアメリカ人の評価をまとめました。
多少のネタバレを含みますので、映画の内容を知りたくない人は読み進めないでください。
日本人の評価
良い評価
悪い評価
アメリカ人の評価
シドニー・モーニング・ヘラルド紙
シネマ・サイレン紙
インデペンデント紙
参考:https://www.rottentomatoes.com/m/detroit_2017
日本人の評価もアメリカ人の評価も賛否両論でした。
映画の題材がスカッとする内容ではないので、それがリアルで良いと感じる人と気分が悪いと感じる人で評価のポイントが分かれる印象です。
映画「デトロイト」を観た感想(ネタバレあり)

映画「デトロイト」を観た私個人の感想をネタバレありで書いていきます。
総評
評価星4.5
観た後の気分は最悪。しかし、アメリカの人種差別や性差別の問題やデトロイトの荒廃した様子を知るドキュメンタリー作品という意味で最高の良作でした。
正直もう一度観たいと思わないけど、一度は観るべき作品。万人受けはしませんが、見ごたえのある映画でした。
尋問が続く問題の40分間
デトロイトの一番印象に残ったのはどの場面?と聞かれたら、ほぼ全員がこの40分間の尋問シーンだと答えると思います。
それほど鬼気迫るシーンの応酬で、一切違う場面に移らず脅し続けます。ハンディカメラを使用した撮影方法は臨場感たっぷりで、自分もその場にいるような感覚になります。
逆にいうと、それほど観客をデトロイトのモーテルにいるような感覚にさせてしまうピグロー監督の腕はすばらしいということでしょう。「自分も尋問を受けているうちの一人みたいで最悪の気分だった」という感想は監督の狙い通りなのかもしれません。
個人的には、アメリカのコメディ映画「なんちゃって家族」で童貞優男を演じたウィルポールターが、尋問をする側の警察官役だったのもめちゃくちゃ恐ろしかったです。
演技の幅が広くて脅し方が真に迫っていたし、何より自分がやってることが本当に正しいという表情がさらに恐ろしさに拍車をかけていました。
ラスト
裁判では、死亡した黒人のひとりが狙撃の容疑者とされ、残る2人の黒人は警察官による正当防衛で死亡したと判断されました。もちろん彼らは無実です。尋問中の暴行で警備員も起訴されましたが、全員無罪判決が下されています。
尋問を受けた側の黒人にとっては救いようのないラストでした。
ただ、無理やりハッピーエンドに持って行かずにより事実に忠実にドキュメンタリー映画としてまとめた点は評価したいです。
おもちゃの銃について
と観終わった後に疑問に思う人も多く、私も映画を観ている最中はその一人でした。
しかし、映画を観終わって冷静に考えると言っても言わなくても結末は変わらなかったのだと思います。それほど黒人差別は根深く、人権なんてないのが当然の時代環境でした。
警察官に向けて「銃を打った、打たない」の応酬はそれほど重要ではなく、「黒人だから」銃を突きつけられる。
逆に「あれはおもちゃの銃だったんだ」なんて弁明しようものなら、警察官に歯向かおうとしたと見なされさらにひどい仕打ちを受けていたかもしれません。
黒人が白人の警察官に向かって「おもちゃの銃だった」と言えない事実もなんともリアルで、映画デトロイトのドキュメンタリー性を引き出していると思います。
まとめ:「デトロイト」の映画はU-Nextで無料視聴できます
デトロイトは、決して楽しい映画ではないですが一見の価値ありの映画です。
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